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すっぽん豆知識

すっぽんは、ずっと以前から、大変美味しいものとして古今東西で親しまれてきたものです。
すっぽんに関する文献等をひも解きながら、すっぽん豆知識をご紹介します。



「すっぽん」って、なに?

日本のすっぽんは、学名を「T,シネンシス:ジャポニカ」といって、
正真正銘日本だけの在来種「古来種:純潔種」です。
現在は、天然のものは数が少なく、ほとんど養殖物となっています。

淡水産のカメであり、体長30センチメートルほど。
甲はほぼ円形で軟らかく、口先が突き出し、水かきが発達しています。
底が砂泥質の河川や沼に住んでいます。
肉は美味で食用、血は強精剤とされています。



すっぽんは、学術的には

脊椎動物門:爬虫類:かめ目:すっぽん科:すっぽん属

淡水性のため、沼や平野部を流れる河川を中心に生息しています。

基本的には水中で生活し、天気のよい日には陸上にはい上がり、甲羅を乾すという行動をすることがあります。 臆病であり、それゆえ昼間は水底や河岸のくぼみなどに潜み、夜間に活動を始めます。

天然のすっぽんの寿命はだいたい100年ぐらいです。

シベリア地方を北限としてアジア東部、日本、中国、台湾、東南アジア、アフリカ、北アメリカに分布。特に中国大陸には多く成育しています。

国内で、は本州・四国・九州・種子島など広く分布しています。

すっぽんは、魚、貝、カエル等を好んで食べます。



すっぽんの歴史は、千年を超える・・

日本で、すっぽんが登場したのはいつだったのでしょうか?

貝塚遺跡から、すっぽんの骨がでてきたという話を聞いたことがありますが、日本での最古のすっぽんに関する文献は、「続日本紀」だと言われています。

「続日本紀」の文武天皇元年(697年)9月の記述に近江の国(現在の滋賀県)より「白鼈(しろかわかめ)」が献上されたとあります。「白鼈」とは、白いすっぽんのことを指し、おそらく、琵琶湖辺りで捕れた白いすっぽんを珍しいので天皇に献上したものと思われます。

※でもこのすっぽんを食用としたかどうかについては、定かではありません。



「食指が動く」って?

食指とは、人差し指を表しますが、この言葉の語源には、すっぽんが関係してるってことをご存知ですか?

中国の明(みん)の時代に書かれた『春秋左氏伝』という中国春秋時代(紀元前)の歴史書の中に、このような文があります。

公子の宋という人が、霊公という皇帝に会いに行く途中、同行した人に自分の人差し指が動くのを見せ、「このように自分の人差し指が動くときは美味しいご馳走が行き先で待っているんですよ。」と話したところ、その言葉通り、霊公は大きなスッポンを料理させていたそうです。

この話からもわかるように、中国では、紀元前の時代から鼈(すっぽん)は、美味しい食べ物として認められていたのですね。



『美味しんぼ』 と 『暗夜行路』、そして『大市』

江戸時代、元禄年間から、300年以上も続く、京都のすっぽん料理の老舗『大市』。

その大市が、グルメブームの火付け役になったといわれるコミック誌『美味しんぼ』(小学館)の第3巻「土鍋の力」と第46巻「究極のすっぽん鍋」で紹介されています。
また、白樺派の文豪志賀直哉の近代日本文学の代表作とも言われている『暗夜行路』のなかに、大市が登場します。

このすっぽん料理の老舗「大市」で使われているすっぽんは全て服部中村養鼈場で育てられたものです。



すっぽんの供養

浜松では、毎年8月に浜松中央料理組合の主催で「すっぽん供養祭」が行なわれます。場所は、静岡県浜松市の佐鳴湖西岸にある供養碑。

供養碑の下のところにある2匹のすっぽんが、かわいいですよ。



「すっぽんは喰いついたら離さない」って本当?

すっぽんは臆病なので、まず逃げますから、すっぽんのほうから喰いつきに来ることはありませんが、捕まえれば喰いつきますので注意してくださいね。

1年未満の小さいものは喰いつかれてもそれほど痛くはありませんが、大きいものになると飛び上がるほど痛いです。万一、すっぽんに喰いつかれたら、水の中に入れれば放して逃げていきます。

近くに水がなかった場合は、鼻を刺激するとビックリして離します。



どうして『月とすっぽん』というのか?

二つのものが比較にならないほど違っていることの喩えを「月とすっぽん」と言います。

同じような言葉には、「雪と墨」「提灯に釣鐘」「雲泥万里」「雲泥の差」などがあります。

さて、その「月とすっぽん」の語源は、諸説ありますが、江戸時代の随筆作者、喜多村〓庭(安政3年没)が著した風俗の百科事典『嬉遊笑覧』のなかに、



「スッポンを丸と異名をつけて呼ぶ。
漢名にも団魚(だんぎょ)と言ふと等し。

月は丸きものなれど、
丸と呼ぶスッポンとはいたく異なるるなり」



と、記されていることからのようです。

スッポンは、甲羅が丸いことから異名を丸(まる)と言い、一方、月も丸い。
同じ丸なのに2つの丸は大違いで、月は美しいが、すっぽんは醜い。

「月と鼈」は、少しは似ていても、実際には甚だ異なっているので、大きく隔たりのあるもののたとえとして使われるようになったそうです。



すっぽんの赤ちゃん

すっぽんは、生後5~6年で産卵しますが、優良な親となるのは、10年くらい(体重3~5キロ)かかるといわれています。

産卵時期は、5月中旬から8月中旬頃迄。砂地に穴を掘ってピラミッド型に産卵し、また埋め戻します。産卵数は一回に10~50個くらい、1シーズンに2~3回産卵します。そして、約2ヶ月弱で孵化(ふか)します。

卵は、まんまるでピンポンボールを少し小さくした形です。卵の直径は約1.5cm、重さ約2~3gくらいあります。

孵化した時の重さは、2~3g。とてもかわいいサイズです。